ロボットうら話~ダンスロボットに使われたリンク機構について~
- 2019/09/24 更新
ロボット教室ふじみ野校で先日行われたダンス競技についての補足記事になります。ダンスロボットに使われていた「リンク機構(きこう)」とよばれる仕組みについての解説になります。
このリンク機構をマスターすると、さらに高度なロボットが作れるようになるため、保護者の方は是非、生徒さんと一緒に読んでみてください。
リンク機構とはいったい何か
まずはリンク機構というものがどういうものかを説明していきます。「リンク機構とはリンクを用いた機構である」と技術書にはよく書かれていますが、そのリンクってそもそも何?という方が多いと思います。私もそうでした。なので図をつかって説明します。
かんたんなリンク機構は接点(図の〇)と節(図の棒のようなもの)が複数個あれば作ることができる、非常にシンプルなものになります。
ここで、この図をすこし動かしてみましょう。
言葉を変えて説明すると、図の下にある「棒」を固定して、図の左にある「棒」を押してみます。そうするとこのような動き方をします。
下にある棒と〇だけを固定しているため、力がかかるとほかの棒と○は動きます。この動きがリンク機構独特の動きで「おなじ動きをなんどもくり返す動き」をするときにこの機構が利用されます。イメージしやすいものだと、車のワイパーがこの原理を利用して作られています。
リンク機構の歴史
リンク機構という構造は見たところシンプルですが、意外にもその歴史は浅いです。
リンク機構の開発がすすめられたのは19世紀に入ってからであり、21世紀の現在からして、およそ200年ほどしか経過していない(もしくはまだ200年すら経過していない)という事実があります。
リンク機構はなぜ進化したか
小学校でもう習った生徒さんもいらっしゃると思いますが1800年代にイギリスという国で「産業革命(さんぎょうかくめい)」とよばれる出来事が起こりました。
この産業革命では、蒸気機関(じょうききかん)とよばれる、蒸気の力をつかって動く機械が開発され、いままで人の手で行っていた仕事が、はじめて大規模に機械をつかっておこなわれるようになりました。
機械をつかうことで、人が3日かかっていた仕事が1日でできるようになります。このことを難しいことばで「効率(こうりつ)」といいます。
では、みなさんが工場のえらい人だとします。あなたは100万円かかるけれど人間10人分の仕事ができる機械と、30万円かかるけれど人間10人分の仕事ができる機械、どちらがほしいですか?
この質問には、ほとんどの人が、30万円というすくないお金で人間10人分の仕事ができる機械を買うでしょう。
機械をうごかすためにはエネルギーとよばれるものが必要ですが、エネルギーにもお金がかかります。そのため、すくないエネルギーで大きなパワーを得られたほうが、エネルギーにかかるお金はすくなくてよくなります。
リンク機構という機構は、小さいエネルギーでも大きな力を生み出すのが得意です。
機械をつくる人たちは、いい機械をつくればたくさんお金をかせげるため、当時は機械の開発がすすみ、リンク機構はどんどん進化していきました。
今回のダンスロボットをつくった生徒さんの中には、このリンク機構の原理を利用して「うで」をつくった生徒さんがいました。ロボットダンスでのリンク機構では、モーターでギアを回転させ、ギアについているビームブロックと呼ばれる棒状のブロックをメインで動かし、それにくっついているほかのビームブロックを動かすことで、まるで手を振っているようなロボットを作りました。非常によくできていますね!
原理を知っていると、少ないモーターだけでも自在な動きができるようになるため、今後もぜひ学んでいきましょう!